インタビュー冒頭で、恒例なら2021年春にCD発表したはずが、出せなかったと話しました。具体的な構想はありませんでしたが、出していたなら多分シングル盤で、SHUNさんに新曲を依頼しようかと、おぼろげに思ってたんです、「コングラチュレーション~希望の鐘の音~」に続く曲として。これ、初めて言いますけど、、、。
それがコロナ禍で企画すら立てられず(当然SHUNさんに依頼するまでもなく)、2021年12月にアルバム発表となりました。
大変お世話になってるSHUNさんの曲を10周年記念盤となるこのアルバムにぜひ収録したい、ただ、新曲はやっぱりシングルリード曲でお願いしたいな、、、とも思いまして、それなら既発表曲をカバーをさせてもらのはどうかという発想になりました。
――「Hello!」を選んだ理由は? 清水:アルバム決定の頃から青SHUN学園さんのCDを通してずうーっと何回も聴きまして。ステージで何度もコラボさせてもらってる「手紙。」も候補でしたし(あまりにも有名な曲なので、ちょっと逡巡しましたね、、、)、他にも初期の2枚組「力の限り!!!!!」にいい曲がいっぱいあって「タスキリレー」とか「夢の中へ」なども候補で。そんな中SHUNさんソロの「Hello!」を思い出して、女性ボーカルになれば元曲から印象が変わってカバーしやすいかなと思い、「Hello!」に決めました。詞の内容も10周年に合ってるなと思い、SHUNさんに許可をいただきました。
それで、他の楽曲依頼から少し遅れて、菊池さん松中さんコンビにアレンジをお願いしました。
――「Hello!」のアレンジ、トラックメイクされた松中啓憲さん、菊池卓也さんにお話しを伺います。SHUNさんのソロ楽曲「Hello!」のカバー制作を依頼された時はいかがでしたか? 菊池:アルバムの個別製作のお話から少し時間を経て、この曲のアレンジのお話を清水Pよりいただきました。
Star☆Tの発展に尽力くださっているSHUNさんの、しかも有名で人気もあるこの曲…はたして納得いただけるようなアレンジができるのか…とやや戦慄を覚えた記憶があります。OKのお返事をするまで結構時間がかかりました(笑)。
なにしろ原曲がすでにこれ以上ないくらい完成されている。またミクスチャー的な楽曲を製作する経験が無かったので、より頭を悩ませました。
しかし清水Pがこれまでのアレンジ楽曲を評価してくださり信頼し頼んでいただいた、との自負がありましたので「やはりこれはやらねば!」と思いこの曲に関しては松中の手を借りようと決めました。また松中も快諾してくれたので心強かったです。
松中:原曲がかなりボーカル、追っかけボーカル、セリフ、と複数ある完成度の高いアレンジになっているので、プレッシャーも感じましたが大人数で歌う醍醐味もあるのではと思いましたので、10周年にふさわしい活気あるとにかくフレッシュなサウンドになるように思い、菊池の意向も汲みながら制作させていただきました。
――楽曲制作過程について菊池:「リコネクト」の制作と同時期に松中宅での「合宿」をした際に僕の音取りから始まりましたが、ほぼ絶対音感を持つ松中が見かねて作業をほぼ進めていきました。どけ~俺がやる!って感じで…(笑)。
清水Pからの依頼は「アレンジではあるが、キーの変更以外曲調はそんなに変えなくても良い」とのお話でしたので、コードもほぼそのままで良いだろう、と決め打ち後は松中の作業を俯瞰し見守る形だったと思います。
清水:カバーって元曲からの印象を変えたいって思いがちなんですが、複数女性ボーカルで歌うだけで印象変わるだろうから、元曲の構成とか雰囲気は踏襲していいのでは、と菊池さんにお話ししました。
松中:普段、僕自身がピアノの弾き語りでライブ活動を行っているため、ピアノのみでカバーアレンジをすることはとても多いのですが、実はオケでのアレンジ制作機会はそれに対してかなり少ないので、自分の中ではオケアレンジは経験不足だと感じてはいますので、とにかく思いつく音を入れてゆき、何度も何度も聞いて、後に取捨選択していくスタイルをとっています。
まずは、リズムトラック、そしてベースライン。ベースラインはピアノで実際に左手で再現して弾く形でいれています。それから上物となるピアノをとりえず弾いてみる。
レコーディングに使用するデモの段階では、この3つの音しか入ってない状態だったと思います。レコーディングの後から、少しずつ装飾音を加え、全体図を見ていくことになりました。
特に難しいなと感じたのは、原曲のエレクトロロックなイメージから、どう違いを出してアレンジが出来るかな?という点です。
今回はシンセサイザーとピアノをメインに、そしてStar☆T楽曲制作の際に毎回お願いしているギタリストの木曽義明くんに、エレキギターでのバッキングとソロをお願いし全体アレンジしていきました。
――楽曲の聴きどころ、こだわった点について菊池:最終段階の話にはなりますが、オケの音色を聴きやすく、なおかつパンチが感じられるよう様々なシンセを用いていじりました。特にバスドラム、スネアドラムの音はデジタル感をより強めようとこだわりました。
松中の爽やかなピアノ節と、重厚なデジタルロックテイストが反発する事なくスッと耳に入ってくる、そんなサウンドを目指し調整していきました。
間奏はSHUNさんの原曲ではシンセをバリバリ聴かせるアレンジでしたが、Star☆T版では、いつもキレッキレな演奏をしてくれる木曽さんのエレキギターと松中ピアノのセッション!という形でとても息が合った演奏だったので、そこは「アレンジしたよ!」という主張を込め決めました。
松中:先ほどお話したように、アレンジは原曲をどうしてゆくか、が一番難しいところじゃないかと思います。全く同じでもいけないし、楽曲を極端に変えるのもどうだろうかなどありますが、今回はテンポや曲調はそのままでとのことでしたので、、サウンド面の方向性をシンセサイザー、ピアノ、生エレキギターで考えてみました。
聴きどころは、やっぱり大人数の歌声です。原曲のSHUNさんのソロバージョンと、Star☆Tメンバーの大人数で歌うアレンジは十分違いが出せるんじゃないかなと思いました。
ただ、これは膨大な録音トラックがあり、実際はめちゃくちゃ大変でサジを投げかけました(苦笑)。でも、その分、非常にダイナミックなボーカルアレンジになったのではないかなと思います。
サビ前のセリフは聴き方が変わるよう意識してバッキングにこだわりました。ほぼブレイク(無音)にして聞かせた1サビ前、そしてリズムの疾走感を失わずにいった2サビ前。両方ともステレオで聞くと両側から声が聞こえるようになってるのも個人的に好きなところです。
落ちサビはエレクトロな原曲に対して、メロウなピアノのみで表現する形にしました。
それから、サビの追っかけコーラスは誰の声かわかりますでしょうか?実はソロパートのある3人とは別に、残りの2人の声のみで、サビの追っかけコーラスを構成しました。声の違いにも注目いただけたらと思います。
――レコーディング、ミックスなどについて菊池:「SIGs~」のところでお話した通り、この曲もデモ完成がギリギリになってしまい、メンバーはスタジオで初めてオケを聴くという負担を強いらせる状況になってしまいましたが (本当に申し訳ありませんm(_ _)m)、キーの変更を除けば、サイズなどは変えなかったため、メンバーは本当に良く原曲を聴き込み練習してくれていたようでした。
清水Pからは、この曲に一番合っていると思われる近藤実希さんをメインでいければと決めてられましたが、他の参加メンバーにも一通り歌っていただいたと思います。
基本はSHUNさんの歌い方(ファルセットや力の入れどころ、抜きどころなど)をこちらから提案した部分もありましたが、皆さん臨機応変に対応してくれました。
「ここはどうしよう…」と僕が思案していたら、「こういう感じでどうでしょう?」という感じで能動的に逆提案してくれたり、非常に助かりました。結果的に時間はやや掛かってしまったものの、悩むことなくスムーズにレコーディングを進められたのも、ひとえにメンバーと一緒に作り上げていけたからだと思います。
皆さんがとてもテンションが高かったので、ついでに「おいでん」のカバーと同じようマイクを囲んでラストに「フー!」と入れてもらい、そのままミックスにも入れました。「無い方が良い」と言われたらやめようとの心づもりではいましたが、最後まで誰にも言われませんでした(笑)。
声の編集や調整は松中がほぼ一人でしてくれました。全く頭が上がりませんm(_ _)m。
僕が唯一手を入れ編集したのは、リーダー和久田さんのソロパート…モゴモゴ(笑)、レコーディングの時に「そうしますね!」「あー矢作川みたいにね!笑」というやり取りがあったので、これだけは丁寧にやらないと!と(笑)
松中:ソロパートはもともと決まっていましたので、この楽曲では歌割りは必要無かったですが、リバーブの深さを基本担当しました。セリフ、落ちサビはかなりリバーブ深いです。
声の編集を全編にわたって行いました。上で述べた通り膨大な録音トラックがあったため、根気と根性でなんとかやり遂げました(誰か褒めて下さい 苦笑)。
――楽曲をお聴きの方にメッセージをお願いします菊池:女の子らしい柔らかさと、それをパワフルに聴かせるサウンドが混ざり合った素敵なアレンジが出来たと思います。
SHUNさんご本人からもTwitterでお褒めをいただき、太鼓判を押していただけた気持ちで嬉しかったです。聴いてくださった方にも届けば良いな!と思います。
松中:SHUNさんの優しいながらも力強いパワーを感じる楽曲を、女の子達ならではの表現の歌に、少しでも寄り添えるようにと思ってアレンジさせて頂きました。ライブでエネルギーを感じていただけるアレンジになっていたら幸いです。
松中啓憲 菊池卓也これまでの提供曲「変わるもの、変わらないもの」「Restart!」「Only Shining Star」「ご当地ソング」「好きじゃんね。」ほか多数
松中啓憲サイト
http://matsunaka-akinori.office-cs.net/松中啓憲ツイッター
https://twitter.com/Mark52akinori22菊池卓也ツイッター
https://twitter.com/yuiu_ren (「君が嫌いで僕が好きなとこ」インタビューについては原稿到着しだい掲載予定です。しばらくお待ちください)
●各楽曲解説 M7「HAKA」――続いて「HAKA」について、楽曲制作の清水プロデューサーに伺います。楽曲制作の経緯は? 清水:昨年1月に60秒程度の新しいライブオープニング曲を作りまして、ライブはまだまだ声援禁止なので、ダンス中心のものにしようと。ちょうどその頃三浦大知さんの無音ダンスの動画をたまたま見て、これやれるといいなと思って、シンプルにリズムだけのトラックを作りました。
10周年盤だから私も1曲作ろうと思った時に、このライブオープニングトラックを1曲に膨らませるといいかなと。「Start&Smile」方式ですね。
10年って凄いですね。清水さんからの依頼メールに気付いたのが、締め切りの1週間くらい前でまだ間に合うかな?できるかな?と思いながら引き受けました。記念のアルバムに参加できて嬉しかったです。
――作詞過程について
伴野:今回は、清水さんから依頼があった時点で曲のテーマや方向性がはっきり決まっていたのでそこに向かってガッと一気に書きました。
清水さんからは一発OKくらいの、良い反応をいただいたのですがそのあと意見を交換しながら2、3回練り直して完成しました。
清水:深井さんの曲を私が作詞することになったので、自分の曲の作詞は他の人にやってもらおうと思った時に、伴野さんに頼もうと。デビュー曲「この街に生まれたから」はじめ、特に初期にはたくさんの作詞をお願いしてきましたので、このアルバムでもお願いしたいと。
曲自体はダンスがメインの楽曲なので、詞はストーリー性よりも語感重視にしたかったんですが、楽曲「2021」の内容に繋がる感じがいいかなと思って、何個かキーワードを伴野さんに投げて。
「もう大人は見捨てよう」というフレーズの解釈ですね。世代交代メッセージに取られがちですが、単純な世代交代ではなく、あらゆるところにはびこる既得権層に「もうそろそろお引き取り下さい」っていうのが芯のメッセージです。私たちは地方で、インディーズで、民間で、弱小側ですから。
――聴きどころ、こだわったところなど
伴野:元々、ライブで使っていた曲を膨らませたものという事でステージで、カッコよく踊るStar☆Tをイメージして書き始めたのですが、作詞の過程で「HAKA」というワードが出てからはより力強さや、前のめりな感じを意識しながら書きました。
「HAKA」はマオリ族の伝統舞踊なのですが、言葉遊びしたくなって「墓場」とも掛けています。
やりすぎかなと思いましたが、清水さんのOKが出たのでつい。。。
――楽曲をお聴きの方にメッセージをお願いします
伴野:ちょっと気合を入れたい時に、頭の中で流れるBGMの1曲に仲間入りさせてもらえたら嬉しいです。