2022-01-02

【楽曲解説】プロデュ―サ―によるアルバム「2021」楽曲解説 その③「SIGs {tart}『持続可能なアイドル目標。』」「リコネクト」について #すたーと

CD発売後恒例の制作者による楽曲解説インタビューを公開します。
Star☆T2ndフルアルバム「2021」について、収録楽曲について、楽曲制作/プロデューサーのみなさんにお話を伺いました。

その① アルバム「2021」全体、「メカクシンデレラ」について
その②「ひねくれたI LOVE YOU」について
その③「SIGs {tart}『持続可能なアイドル目標。』」「リコネクト」について 
その④「Hello!」「HAKA」について 
その⑤「TEN~Up Down Ladder~」「あの歓声が聞こえたら、僕らは再び出会うだろう」「2021-2021ver.-」について、その他 まとめ 


●各楽曲解説 M3「SIGs {tart}『持続可能なアイドル目標。』
――続いて「SIGs {tart}『持続可能なアイドル目標。』」制作の菊池卓也さんです。今回の楽曲制作の依頼を受けた時について
菊池:まず、僕自身の個人的な事情になるのですが、2020年の夏に「拡張型心筋症」という病で2か月ほど入院をしておりまして、退院後も経過観察ということで1年ほどは(コロナの影響もあり)外出を極力控え、自宅で出来る仕事を少しずつしておりました。
 それから1年弱経ったのタイミングで清水Pから、お見舞いのメールとともに新アルバムのお話を伺い「これは心身のリハビリ(笑)として良いタイミングだな!」と思い二つ返事で引き受けることにしました。
 2018~2019年に松中啓憲と共同でシングル「ご当地ソング」の全曲プロデュースさせていただいてから、その後Star☆T SOLO10プロジェクトの楽曲提供に参加製作する過程で、松中も自身でDAW(音楽製作ツール)を随分扱えるようになったこともあり、また今回の清水Pからのお話でも菊池、松中別々の曲を製作するという流れになりました。
 チームで製作するのも有りですが、それぞれ個別での製作となると、その作家性や音楽性もガラリと違うものになるので、今回も曲作りは完全個別製作(お互い干渉しない 笑)となりました。僕の曲は毎回音楽性ブレブレなところがありますが(笑)

――楽曲制作過程についてお聞かせください
菊池:久しぶりの楽曲製作ということもあり、(またお恥ずかしながら僕自身取っ掛かりが遅く毎回ご迷惑をおかけしております…)ありがちですがメロディを思い浮かべるのに一番時間が掛かりました。
 その間にも他曲の作家さんデモがどんどん出来上がってきて参考音源が送られて来る中、「自分の曲はどんな立ち位置であるべきか?」という総合的な思考も加わり、歌詞の内容にも考えが向くようになりました。
 そこで、「松中の曲がマイナー調ならメジャー調で、逆ならその逆」という目安?が漠然と決まりました。CDブックレットのライナーノーツにも書きましたが、当時頭の中では「ご当地ソング」がなぜかずっと流れており、その逆でメインのフレーズが降りていくパターンはどうかなと考え、そのフレーズの前後のメロディが何となく決まっていきました。
 最終的には松中が「リコネクト」で爽やかなメジャー調で作曲をしていたのを聴き、その逆のマイナー調、しかもちょっとドロッとした感じにしようと確定しました。
 Star☆T SOLO10プロジェクトで瑠果さんに提供した曲では世界音楽(マーチング、アラビア風、アイリッシュ音楽)をモチーフにしており、また僕自身も過去に和太鼓をメインにした和曲を自主制作していたこともあり、音色を重ねていったら今回は自然と和風テイストの音楽となりました。
 作編曲、作詞を全て担当するのは「Viva☆LUViːce (ビバ☆ラヴィーチェ)」以来となりますが、今回のアルバム「2021」さらにこの元となった原曲「2021」、また他収録曲の歌詞も大まかに(大人達への反逆)という雰囲気を何となく感じたので、僕もこのテーマで歌詞を作ってみよう!と

――楽曲の聴きどころ、こだわった点などお聞かせください
菊池:テーマは「ギャップ」です。和風ながら和音階に固執せずジャズテイストなホーンの音、飄々とした祭囃子のように見せかけて2番Aメロで突然重いトーンが入ったり一見こだわりの無い(笑)曲展開です。
 また音程の高さが一定になるようBメロでこっそり転調しており、1コーラスをほぼ1オクターブに収めているところです。(大サビはガッツリ転調)あまり意識されないかとは思いますが、メンバーのテンションが上がっている状態ならこのキーが合うだろうと細かなシミュレーションをしました。
 歌詞は流して聴くと一見「自己紹介ソング」のような雰囲気に思えるかもですが、芸事のタブーやSNSの闇、欲望に勝てない人間に対する強烈なアンチテーゼであり非常に攻撃力の高いものとなっています。
 仏教における輪廻の世界である「六道」や賭博用語、四字熟語を用いた生臭い漢字多めなA、Bメロと、今現在よく叫ばれているSDGsや横文字カタカナがメインのサビ、Dメロをミックスしてギャップを表現し、「我々は正しい(と信じる)立ち位置でそんなギャップだらけの世の中を生き抜く!」という「人間道、修羅道」が隠しテーマにもなっています。

――レコーディング、ミックスなどについて
菊池:歌の割り振りは清水Pが既に決めておられました。印象に残っているのが、皆さんがすごく練習してきてくれたことです。
 ただリーダーの和久田さんは何故か「この曲のキーは最初から高くて歌えない」と訴えてきたのですが、他メンバーの励まし?を受けて最終的にはチャレンジしてくれました(笑)。しかし低音パートはちゃっかり(当たり前のように 笑)お願いしてテイクをいただきました。
 また、参加メンバーが「和風の曲好き!」とノリノリで言ってくれたことです。
 お客様などに曲を評価していただけるのはもちろん作者として嬉しいことですが、演者側にそう言っていただけるのはモチベーションが高い証でもありますし、作って良かったなと素直に喜びました(笑)
 サビ最後はラストの長~いコブシを含め実は全て「演歌節」なのですが、本番になると皆さんなかなか上手くいかないもので…最終的には修正で節を作りました。
 歌うメンバーには一通り最後まで歌っていただき、一番良いテイクを採用する形になりましたが、荒武彩音さんが一番しっくりきていたのでテイクは多めです。
 また、斉藤暉さんのテイクが歌の世界観とマッチしており、「大人組」として説得力があると思い落ちサビにもいただきました。
 意外だったのが、佐藤瑠那さんが非常に艶やかかつ伸びのある声で、サブメンバーでありながらも聴き惚れ多めにテイクをいただいています。

――楽曲をお聴きの方にメッセージをお願いします
菊池:作った際は、半分お遊びで付けた曲タイトルですが、レコーディングの際に清水Pから「このままの方が面白い」と言っていただいてしまいました(笑)
 CDを手に取ってくださった方が、どう読んでいただけるのかは不安でもあり楽しみでもあります。
 いわゆる「和風曲」って割と多くのアイドルさんが歌っているので、厳しい比較をされるのがおそらく実情とは思いますが、歌詞のメッセージも汲みながら聴いていただけたら幸いです。

――清水プロデューサーからもコメントが届いてます
清水:菊池さんは、クリエーターであるとともにプロデューサーでありバランサーなんですよね。インタビュー冒頭で言った通り、制作のみなさんに「メンバー世代のリアルな心情を入れて欲しい」とお願いしたんですが、そうなると全体的にシリアスな曲調が多くなってしまうかなぁという危惧もあったんです。で、菊池さんからのデモが届いて聞いたらぶっ飛んでて(笑)。この曲があるかないかで大分アルバムの印象が違うんじゃないかと思います。
 意外にもこれまでStar☆Tにはない和風曲でノリもいいので、ライブでたくさんやっていくことになる曲だと思います。
 

●各楽曲解説 M4「リコネクト
――続いて「リコネクト」制作の松中啓憲さんです。楽曲制作の依頼を受けた時について
松中:2011年「ひまわり」の楽曲提供から10年間も携わらせていただき、記念すべき10周年アルバムにも参加させてもらえたことが素直に嬉しいです。
 当時は、ある種のブームで各地でたくさんのご当地アイドルさんが生まれた中で、このように発展を続け、活動が続いてきた事は、本当に素晴らしい事だと思います。
 10周年をお祝いする気持ちで、曲作りをさせていただこうと思いました。

――楽曲制作過程についてお聞かせください
松中:10年間さまざまなメンバーが加入、そして卒業していきました。今のStar☆Tの活動があるのは、現役のメンバーの頑張りは勿論のことと思いますが、引っ張って来たOGの存在も、大きいのではないかと思います。幾つかのレコーディングにも立ち合って来ましたが、メンバーが変わってもクオリティを高めていこうという姿勢が受け継がれているように感じました。
 そんな中、構想した楽曲のテーマは【10年分の絆】。豊田を離れて新天地で頑張る卒業メンバー。想いを引き継いでさらに飛躍しようと豊田で頑張っている現役メンバー。離れていても、目には見えない繋がっているように感じ、今回の楽曲のテーマとしました。

――作詞を担当された菊池卓也さんにも伺います
菊池:だいぶデモ提出の締めが迫ってきた頃、「SIGs〜」の作曲を自宅で一通り終えた後、この曲と「Hallo!」のアレンジをとにかく進めようと、神戸の松中の自宅にて「合宿」という感じで泊まり込みで作業をしました。
 松中の曲は大分出来ておりましたが、歌詞についてはちょっと出来ないかも…という話になり、まずネタ元となるアニメを鑑賞しました(笑)。その世界観や話の流れに加え、松中本人の曲に今まで作詞をしてきた経験からサラっと歌詞が思い浮かんできました。
 松中が自室で製作作業中、僕はおよそ三帖のキッチンでこの曲と「SIGs〜」の歌詞を一晩で仕上げ(「SIGs〜」の方が言葉選びや世界観を作るのに苦心しました 笑)、そのまま松中に仮歌を歌ってもらいようやくデモが完成しました。

――楽曲の聴きどころ、こだわった点について
松中:前々作の「ご当地ソング」の制作の際に「好きじゃんね。」という楽曲を作らせていただいたのですが、僕自身がアニメ好きということもあり、様々なアニソンからインスパイアされた楽曲でした。
 今作楽曲テーマは先ほど話した通りですが、サウンド面はアニソンイメージを強く意識した楽曲にしました。
 松中啓憲楽曲として特徴としては、2番コーラスが1番と同じにならないところ、そして部分転調の多様ではないかと個人的には考えています。
 アニメはテレビサイズだと1番だけなので、ライブやCDで聞くと「2番は1番と違うんだね!」「落ちサビは転調してたんだ?」という発見に気持ちが上がったりします。
 「ご当地ソング」「好きじゃんね。」でも多用しましたが、今作でも同様なので、1番メロディは覚えているのに、2番が違うから苦戦していたメンバーもいたと思います。
 詞のイメージは参考になるアニメを菊池に半ば強制的に観させ(計4時間 笑)、イメージをつくってもらいましたが、間奏にあたる2番の後は、過去との決別、新たに世界をやり直すような場面を想像して、壮大に転調を駆使して落ちサビにつながるようにしてみました。
 僕が関った楽曲の中でも、一番bpm(テンポ)の速い楽曲となり、間奏含めてどんな振り付けになるのかワクワクしながらつくらせていただきました。
菊池:上で述べた元アニメの内容をなぞるようですが、他人との「つながり」を知らなかった時期を経て、いつの間にか「つながり」を疎かにしてしまい相手と距離ができてしまう。
 が、ここで何らかの出来事や自省の精神、もしくは奇跡が起き(転調を重ねた壮大な間奏がそのシーン、だと僕は解釈しました)再び「つながり」を取り戻していく。そんなストーリーを表現してみました。
(当初は「Believing Heart 」とタイトル付けようとしましたがあっさり却下されました。されて良かったと思います 笑)

――レコーディング、ミックスなどについて
松中:プロデューサーの清水さんと、この曲は全体で歌うというより、ソロで繋いでいく形かなという話をしたので、ソロパートの歌割は特にこだわったポイントです。
 初レコーディングとなるメンバーも、個性が光っていましたので、それぞれの良さが引き立つ部分を選ばせていただきました。
 僕は「モーニング娘。」が好きだったので、ソロパート争奪戦をイメージして、頑張った人がソロパートです!などという煽りも失礼ながらさせていただきつつ 笑。
 ここは私一人で歌っているんだよ、という気持ちでやってみて!という事はディレクション中によく話をさせてもらいました。
 その分、気合の入ったRecになったと思いますし、歌割はとても悩まされました。優しく温かな歌声、ファルセット(裏声)の綺麗な声、力強くも切ない歌声、純粋な声、魅力的なソロパートになったと思います。
 特に、誰が歌っているんだ、という事が分かるように、実際に歌ってもらった雰囲気や息遣いをなるべく残すことにもこだわりました。
 推しメンもそうじゃないメンバーの魅力も、沢山詰まったミックスになったと思いますので、繰り返し何度も聞いていただきたいなと思います。

――楽曲をお聴きの方にメッセージをお願いします
松中:人とのつながりは、思い通りにはないことも、時には離れてしまうこともあるかもしれません。
 離れてしまった想いも、再びつながる事も出来るんだよ。「リコネクト」というタイトルには、そんなも想いも込めさせていただきました。
 今のメンバーたちのさらなる飛躍するパフォーマンスを、多くの方に観ていただけるような、楽曲となれば幸いです。
菊池:恋愛直球な歌詞ではありませんが、恋人や友人、仲間など大切な人との間で「つながり」を持つことへの讃歌、と言うと大袈裟かもしれませんが、そんなエッセンスを感じ取っていただけたら!です。